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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第20章 ~過去から未来へ~


 ルカは幼くして両親をなくしている。
 彼もまた、心に闇を抱えていた。

 失いたくないと願うからこそ、それを考えてしまう。

「俺が願えば、それだけお前が遠くに行ってしまうんじゃないかって……」
 
「もう、しっかりしてよ、ルカっ!」

 だが、サクナは更に怒ってみせた。
 空気が読めないヴィストーターを見習って。


「傍に居ないと護れもしないんだよ?」

「……サク」

「ルカはそれでいいの? 知らない間に私が居なくなっても……」

 ルカは、意外に脆い……
 想いが強いからこそ、不安も強くなる。

 それがルカなんだ。
 優しさだけじゃ、ことが成せない。

 ミモリの言葉で悔しいが、今のルカに必要なのは優しさではない。

 慣れないことに、サクナは内心ヒヤヒヤしながらも、ルカに怒ってみせる。


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