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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第20章 ~過去から未来へ~

「本音をいうとさ、そういうのイヤだと思った。俺はこんなにお前のことが好きなのにそれすらも使命なのかって」
サクナは少し驚く。
それは、サクナも思っていた事だった。
世の普通がどうかは知らないが、少なくとも運命の人とは喜ぶべきことなんだと思う。
それをイヤだというのはある種の望まれたワガママ。抗いたいわけじゃない、何よりも本人たちがそれを望んでいるのにだ。
「でも、ひとつわかったことがある。だからと言って幸せなこととは限らない。傷つくこともあるし、悩んだり、不安になったり……困らせてしまったりな」
「そうだね……」
「お前が居なくなるなんて考えられないのに考えてしまうし……変だよな」
「人だもの……弱気になることだってあるよ」

