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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第21章 ~甘い香りに惹かれて~
その日の朝、ふたりは一緒に沐浴をする。
後宮の湯殿に朝から幸せそうな笑い声が響く。
ときおりサクナの困った声が響くと、ルカの幸せそうな声が聞こえてくる。
☆☆☆ ☆☆☆
沐浴を済ませ、無花果の間に戻ると兄のケイルがいた。
「あれ? 兄様ひとり?」
「ああ、さっき父さんが来たから、母さんとふたりで祭壇に行った」
「父様来てたの? 会いたかったな」
「長も、ババ様も来てたぞ、サクナはルカと沐浴してるって言ったら、長くなりそうだから先に大聖堂で待ってるだと」
「……そ、そう」
そこは何となく誤魔化してくれればいいのに。
兄はそのへんが無頓着だから困る。
村には温泉があり家族で湯につかることはよくある光景ではあるが、王宮や後宮での厳重体制の引かれてる最中、ふたりで湯殿に入っていた風景を思い出すと恥ずかしくもなる。
「はは、俺たちも着替えて大聖堂に行こうか」