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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第21章 ~甘い香りに惹かれて~
「父様が教えてくれた事は、この時のことを指してたんだね」
どんな時も常に冷静であれ、気を強くもて。
父はそうサクナに教えてきた。
「何においてもだ、今回に限りでもない。お前が冷静であれば陛下も落ち着いて判断が出来る。愛するものは強みにもなるが同時に弱みでもあるからな」
その言葉は今はすごくわかる。
「姫様、お待たせしました。大聖堂の方にお越しください」
そのとき、執事長が呼びに来る。
父はサクナの手を取り甲にキスをする。
「サクナ、これで終わりなわけじゃない。これからが始まりだ。陛下とともに幸多からんことを」
鋭い切れ長の瞳を細ませ、父はサクナのベールを下ろし頭をポンポンと撫でる。