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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第21章 ~甘い香りに惹かれて~
サクナは少し瞳を滲ませ、ニコッと微笑んだ。
無償の愛をくれる家族の愛、サクナはそんな大きな愛に包まれ、色んなことを教わってきたのだと改めて感じる。
自分もルカや産まれてくる子供、そしてこれからも先お世話になる人達にも、そんな愛を与えられる存在になりたいと強く思った。
レオナールに案内され、大聖堂の二枚扉の前で立ち止まる。
「姫様、ここで少しお待ちください」
父の腕を掴み、サクナはフゥーっと息を吐く。
ドクドクと心臓が高鳴る、けれどさっきまでの緊張はない。
「サクナ、堂々とな。どんな心境に追い込まれようと見かけだけでも威勢をはれ、自ずと心が落ち着いてくるから」
「はは、覚えとくよ」
父がフッと隣で笑った瞬間、扉の向こうからパイプオルガンの音が聞こえてくる。