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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第21章  ~甘い香りに惹かれて~

 扉が左右に開かれ、眩い光が飛び込んでくる。

「それでは中にお進み下さい」

 鼓動を刻む音がパイプオルガンの洗礼な音に消え、サクナは父と共にゆっくりと身廊を歩きだす。

 祭壇までの大理石を一歩、また一歩と進む。

 列席者では、招かれた者たちが王妃となる祈り姫を食入るように見ている。

 様々な思惑を含んだ視線。

 当のサクナはその視線は感じるものの、それを気にするどころではなかった。


 ────堂々と……見かけだけでも……

 内心ハラハラしつつも、サクナは先ほどの父の言葉通り、これからリキマシアの未来を陛下とともに支えるんだと威勢をはる。

 

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