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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第21章 ~甘い香りに惹かれて~
大聖堂に響きわたったパイプオルガンの音がほんのりと余韻を残した後、静まりかえった広い空間に変わる。
祭壇の前、大主教が静かに口を開く。
「今より、リキマシア国王陛下である、ルカ・ファリノサとサクナ・シーボルディの結婚式を行います。ふたりの結婚に異議のあるものは申し立てて下さい」
ドキドキと鼓動が早くなる。
形式の言葉ではあるが、もしかしたらということも有り得なくもない。
諸国の王や、王宮の人達が見守る中、再び大主教の言葉が綴られる。
「異議が無ければ今後、何も申してはなりません。それでは、婚礼の儀を行います。皆様着席ください」
サクナは明らか様にホッとした。
気がつけばルカの腕を握り締めていたことに気づく。
見上げるとルカと視線があう、ベール越しに映るルカの笑みにサクナも微笑み返す。