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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章  ~偽りの気持ち~


 早朝、夜があけ始めまだ薄暗い中。
 サクナは目を覚ます。

 そこは見慣れた景色でややこじんまりとした部屋。春先のやや涼しい空気が肌を冷やす。

 そこは。自分の部屋だった。

 気だるいような躯がやけに重い。
 動くのが億劫にさえ思う。

 汗ばんだ肌と内部に残る熱い迸りの感覚。確実にそれは記憶に新しく現実であることはわかる。

 しかし、その情事が夢だったかのように、肌触りの良い寝衣に包まれた躯は清らかなものだった。

 ただ、鈍痛が残る内部にまだルカを感じるような慣れない感覚に、それが夢でないことをわからせてくれる。


「寒い…………」

 サクナは上掛けを巻きつけ躯を横にした。

 パチッと蒼い瞳と目が合う。

「いたの?」

「いた、おはよサク」

 気配を感じない、と言うか存在に気づかなかったことに戸惑い、それと同時に気恥ずかしさがこみ上げてくる。

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