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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章  ~偽りの気持ち~

 言葉に惑わされる。
 そんなこと有り得ないのに。

「あ、申し訳ございません姫様。つい本音が、どうされました? 顔色が優れませんわよ?」

 青ざめるサクナを見てご満悦なのか。マリーは、貴族たちと歩いて何処かに行ってしまう。

「姫様。何をほうけておいでなのですか、陛下が姫様を愛していないのは承知の上で御婚約されたのでしょ」

 とどめを刺すようにユイナは淡々と言う。

 愛していないのは承知の上…………
 祈り姫としか見てない。愛していると言われたことは無い。

 サクナは小さくかぶりを振る、そんな事ない。ルカが愛してないわけがない。あんなに優しく大切にしてくれるのに。

 なのに惑わされる。
 その一言を、言われていないだけで。

「宜しいではないですか、陛下はお優しい方です。祈り姫として姫様を大事に想っているのですから」

 
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