この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
重ねて高く積み上げて
第2章 私の時間

ドア前まで見送ってくれるユウくんに手を振る。いつものヘラヘラした笑顔で、ユウくんも私に手を振ってくれる。そんな小さな事がいちいち嬉しくてたまらない。
自動ドアが開いて誰かが入ってくる気配に、1歩後ろへ下がる。
「あれ。春川じゃん」
聞き覚えのある声に心臓が飛び跳ねる。
「いらっしゃい、高橋さん」
「オーナー、この子です。俺が今口説いてる子」
血の気が引くとはまさにこの事。賑やかに談笑していた周りの音が、突然消えたような錯覚。ユウくんの顔がへらへらしていない。笑っているけれど、いつもの笑顔じゃない。
「せっかくだし、一緒に飲もうぜ」
高橋さんの手には、今朝、私に渡してきたお土産の袋と同じ柄の紙袋が握られていた。
自動ドアが開いて誰かが入ってくる気配に、1歩後ろへ下がる。
「あれ。春川じゃん」
聞き覚えのある声に心臓が飛び跳ねる。
「いらっしゃい、高橋さん」
「オーナー、この子です。俺が今口説いてる子」
血の気が引くとはまさにこの事。賑やかに談笑していた周りの音が、突然消えたような錯覚。ユウくんの顔がへらへらしていない。笑っているけれど、いつもの笑顔じゃない。
「せっかくだし、一緒に飲もうぜ」
高橋さんの手には、今朝、私に渡してきたお土産の袋と同じ柄の紙袋が握られていた。

