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揺れる心
第11章 星の結晶
帰国した翌日に、伯父の病院に陸也さんと一緒に行く。
そして、確かに妊娠していることが判った。

その瞬間、私より陸也さんの方がポロポロと涙を流してしまっていて、
先生が思わず笑ってしまう。

そして、
「真理子ちゃん、本当に良かったですね?
おめでとう」と言ってくれた。

その先生は、私のことも取り上げてくれたベテランの女医さんで、
定年の後も嘱託で勤務してくださっていた。
海斗さんとの間の最初の妊娠の時も診て頂いていた身内のような優しいおばあちゃま先生だった。

流産してしまった時も、
「まだ若いから…いつか…」と、
頭を撫でてくれたのを思い出して、
私も涙ぐんでしまう。


その足で、実家に帰国報告も兼ねて妊娠の報告をすると、
両親も本当に喜んでくれた。

勿論、陸也さんの実家も大喜びだった。


簡単な両家の顔合わせを兼ねた食事会もして、
写真だけでもと、
洋装と和装で撮影もした。

すぐに陸也さんの大学病院での勤務が始まったのと、
私が少し悪阻が酷かったりしたので、
京都の桜は今年は無理だということになり、
陸也さんの実家の庭の桜をのんびり観ながら過ごした。


仕事は忙しいだろうに飛んで帰って来てくれる陸也さんとお父様、
週に5日は家に居てくださるお祖父様にお手伝いさんのみんなが私を心配して甘やかしてくれるので、
何をして良いのか判らないほどだった。


関係者の方にお披露目も兼ねてしたお食事会や、
大学の行事に同行する時は、
実家の両親まで、私を甘やかすし、
教授の皆様も面識があったりしたので、
親戚のおじさまに囲まれているようだった。


ヒール靴より安全だからとゆったり着物を着ても、
「苦しくないの?
大丈夫?」と言う陸也さんに、

「ほら?
また、お父さんみたいなこと言って?」と笑ってしまう。


定期検診にも毎回、ついてきては、
一緒に超音波の画像も見たりするので、
何となく言われなくても性別に察しがついてしまっていた。
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