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揺れる心
第8章 突然のさよなら
「なんなら、カレー、作ろうか?」と言われて、
声を上げて笑ってしまった。


「陸也さん、カレーも作れるの?」


「言ったでしょ?
向こうでは結構、家事をするって。
少し香辛料、持ってきたから。
ちょっと待ってて?」


ゴソゴソと鞄から何かを出す。

「あ!
鶏肉とかは…ないかな?」

「お料理、してないから…」

「じゃあ、明日、買い物してきて、作ってあげる。
辛いのって、大丈夫?」

「唐辛子がガツンみたいな辛さはちょっと苦手だけど、
カレーの辛さは大丈夫かも」

「そっか。
辛いの苦手だと、
ますますインドには行けないかな?」
と笑う。


「さて、じゃあ明日、食材持って来るよ。
そろそろ帰るね」


「あの…もう少しだけ、
一緒に居て欲しい…」


「えっ?」


「こうして、ハグしてて欲しい…」


「…判った」


そう言って、陸也さんは私を抱き締めてくれて、
私はいつの間にか安心して眠りについてしまっていた。


途中、そっとフワリと抱き上げられたような気がした。

ベッドの中でも抱き締められていて、
私は無意識に抱き締め返して「海斗さん…」と呟いていた。

泣いている睫毛や目尻に、
そっとキスをされる。

額や頬にもキスをされる。


私は久し振りに穏やかな気持ちで、
海斗さんに包まれて眠った…ような心地がしていた。


陸也さんはそんな私を、
本当に優しく包み込んでくれていた。



外が明るくなってきて目が醒めると、
陸也さんが私のことを見ていた。


「あの…
おはようございます…」


「おはよう。
真理子さんの寝顔、可愛くて見てた。
でも、本当に痩せちゃったね?」と髪を撫でる。


「私…」


「良いよ?
海斗って呼んでたけど、
そう思っていることで少しでも眠れるなら」
と笑う。

「海斗の代わりにはなれないし、
真理子さんに酷いことしたから、
僕は真理子さんには何も望めないって思ってるけど、
こうして一緒に居れるだけで、
凄く幸せな気持ちになるよ。
ありがとう」


何も言えなくて、
また、涙が出てしまうのを、
そっと抱き締めてくれる。


そんな陸也さんを、
海斗さんの身代わりさせているような気がして、
とても申し訳ないように思ってしまった。
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