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妄獣
第1章

「ご苦労さまですっ」

新しく宛てがわれた配送ルート内にあるマンション。彼女はそこの最上階に住んでいた。
一階のエントランスで彼女の部屋の呼び鈴を鳴らし、ドアを開けてもらう。その度にこの、めちゃくちゃ可愛い笑顔で迎え入れてくれるのだ。

「こんにちはー。密林さんからのお荷物です」
「ありがとうございますっ。暑くなってきましたねー」
「ですねー」

諸々を通販で賄ってんのか、俺がココを訪れる機会はかなり多い。そのおかげで彼女とは、こうして世間話をするくらいの間柄になれたのだが。

「じゃ、ココにいつもの…」
「あっ、はーい」

受け取りは決まってサイン。荷物の箱は俺が持ったまま伝票に記入してもらうのが恒例だ。

その間は、彼女をガン見しても許される貴重な時間。
俺より15cmくらい小柄で、どっちかって言ったら童顔。なのに…胸がでかい。腕も尻も足もむちっとしてて…なんてーか、とにかく、『エロい』体。

都心のど真ん中、バカみてーな広さと家賃(ググってビビった)の部屋。こんな所に住めるなんて、何してんだ?

『仕事してます』とは聞いたけども、こんな部屋に住めるようなバリキャリにはとても見えないし、今みたく午前中に在宅してても、お水や風俗嬢ってわけでもなさげだ。
実家が太い?まさか…愛人?…ま、どーでもいいか。
今はとにかく、彼女を見ていたい。

「はいっ」

──至福の時はアッサリ過ぎて。彼女はあの笑顔で俺を見上げた。──うわ、心臓が跳ねる。下半身が熱い。──やばい。


「…毎度どうもー」

伝票を受け取り、そそくさと退散する。これも恒例。
だけど徐々に、でも確実に、理性は崩れてきていた。
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