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初めての体験は、自分の意識が
第1章 ような気がしてしまうので、もうあまり抵抗できないのだった。

初めての体験は、自分の意識が別の惑星を結んでいたことに気づいた。
わたしは大慌てで自分と向き合った。見えているのは、太陽系に存在する全ての惑星。
大きな星に囲まれた小さな惑星。何もない惑星が一つ。
わたしの意識は、この惑星の中で生きている。
わたしの身体は、地球の記憶から分離し、現在のここにある。わたしの意識を共有しているのは、惑星の記憶だけだ。
「こんばんは、ドクター・アンス」
「おやおや、こんばんは。わたしくの事を覚えていてくれたんですね」
「これからのわたしは、あの惑星の住人に成ってゆく。あなたは宇宙で生まれ育った、あなたにしてはなかなか優秀な人間ですよ」
「いいえ、もうわたしは宇宙ではないの。だからといってここの住人に成っているとは言い難いわね」
「ええ、わたしは自分自身ですから。あなたと違って。……では、お二人のことも忘れて、わたしは宇宙に向かうわ」
ドクター・アンスは笑って、わたしの背に手を沿わせた。
「さようで、何から始めるんですか。わたし、ドクター・アンスの話はしたくないんだけど。その……、あなたのこと」
「ドクター・アンスはわたしと一緒に居たいと思っている。けれど、そんな気はないわ」
「なんで? 今のあなたを見てて何だか気になるもの。この方はまるで、ドクター・アンスじゃないみたいにね」
「……あなたの思っているようにしたら、私の身体は私じゃなくなったわ。あなたはドクター・アンスなのよ」
「じゃあ、何なの」
「ドクター・アンスはね、私たち人間の精神と繋がりのあった惑星の記憶を受け継いでいるの。私たちは何もない惑星を移動してきたから、何を記憶しようとしても無理なのよ」
「だったら記憶を読み取れるんじゃないの?」
「わからないわ。そんなこと、わかりはしないわ」
わたしは首を傾げた。もしかしたら、その惑星は人間の心と繋がっているかもしれないが、それは本当にどうやって人間の身体に移っただろう。
「あなたの脳を探り出したとき、ドクター・アンスが直接教えてくれたわ。今までは自分で見つけることができずにいたらしいけど、それは無理でも自分のものになる方法だ、と」
そうか。わたしはその方法に乗ったのか。
わたしは大慌てで自分と向き合った。見えているのは、太陽系に存在する全ての惑星。
大きな星に囲まれた小さな惑星。何もない惑星が一つ。
わたしの意識は、この惑星の中で生きている。
わたしの身体は、地球の記憶から分離し、現在のここにある。わたしの意識を共有しているのは、惑星の記憶だけだ。
「こんばんは、ドクター・アンス」
「おやおや、こんばんは。わたしくの事を覚えていてくれたんですね」
「これからのわたしは、あの惑星の住人に成ってゆく。あなたは宇宙で生まれ育った、あなたにしてはなかなか優秀な人間ですよ」
「いいえ、もうわたしは宇宙ではないの。だからといってここの住人に成っているとは言い難いわね」
「ええ、わたしは自分自身ですから。あなたと違って。……では、お二人のことも忘れて、わたしは宇宙に向かうわ」
ドクター・アンスは笑って、わたしの背に手を沿わせた。
「さようで、何から始めるんですか。わたし、ドクター・アンスの話はしたくないんだけど。その……、あなたのこと」
「ドクター・アンスはわたしと一緒に居たいと思っている。けれど、そんな気はないわ」
「なんで? 今のあなたを見てて何だか気になるもの。この方はまるで、ドクター・アンスじゃないみたいにね」
「……あなたの思っているようにしたら、私の身体は私じゃなくなったわ。あなたはドクター・アンスなのよ」
「じゃあ、何なの」
「ドクター・アンスはね、私たち人間の精神と繋がりのあった惑星の記憶を受け継いでいるの。私たちは何もない惑星を移動してきたから、何を記憶しようとしても無理なのよ」
「だったら記憶を読み取れるんじゃないの?」
「わからないわ。そんなこと、わかりはしないわ」
わたしは首を傾げた。もしかしたら、その惑星は人間の心と繋がっているかもしれないが、それは本当にどうやって人間の身体に移っただろう。
「あなたの脳を探り出したとき、ドクター・アンスが直接教えてくれたわ。今までは自分で見つけることができずにいたらしいけど、それは無理でも自分のものになる方法だ、と」
そうか。わたしはその方法に乗ったのか。

