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VRの罠(汚された愛と勇気の戦士達)
第2章 大型トレーラー
「愛ちゃん、一つだけ忠告しておきます・・・。
大体の筋書きは出来てるけど、これはあくまでバーチャルゲームなんです。
だから君自身がビューティー・エンジェルとして頑張らないと、悪役に負けちゃいますよ。」

「えっ・・・殺されるのぉ?」

「まさか・・・只、そこでゲームオーバーになるね。」

「よーし、がんばらなくちゃ・・・。」

「それと・・・・。」

「えっ・・・まだ何か、あるんですかぁ?」

愛が不安そうに聞いた。

「これは私が15年の歳月をかけた科学の結晶なのです。
データも一万人以上の人からあらゆるパターンを取って蓄積してあります。
しかも特殊な装置が脳神経に直接信号を伝えて、寒さや熱さもリアルに感じる事が出来るのです。それと、痛さもね・・・・。」

「ええっ・・・痛いのぉ?やだぁー・・・・。」

愛がゴーグルを取って博士を睨んだ。

大きな目が泣きそうになって潤んでいる。

「はははっ・・・ちょっと脅かしすぎたかな?」

博士は優しく笑うと、そっと愛のゴーグルを掛け直した。

「勿論、ごく弱目に調節はしてあります・・あくまでヴァーチャルだから傷も残りません。
最初に説明しておかないとゲームの中で攻撃を受けてびっくりしちゃいますからね・・・・。
でも、大丈夫・・・ピンチになったら必ず助けてくれるよう設定されてありますから。
そう・・・分っているでしょう?たよりになる・・・・・・。」

「救世主アポロン様ぁ・・・・。」

両手の指を合わせて愛が叫んだ。

「はっはっは・・・その通り。だから安心してゲームを楽しんで下さい。」

「わかったわ・・・ふふっ・・・・。」

白い歯がこぼれた。

「いよいよ、ビューティー・エンジェルの世界に出発します。宜しいですか?」

「はっ・・・はい・・・。」

愛は小さく喉を鳴らした。

「では、ビューティー・エンジェル・・・・ログ・インします。」

一瞬、目の前が真っ暗になった。

直ぐに大きな効果音と共に閃光が走る。

心だけが身体から離れていき、まるで時間を駆け上っているような不思議な気持ちだった。

愛はビューティー・エンジェルとしてヴァーチャルの世界へと踏み出していった。

そこに恐ろしい罠が待ち受けている事も知らずに。
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