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近くて遠い
第3章 父の残したもの
私もしばらくは、高校に通いながら毎日のようにバイトをする生活をしていたが、父が残した借金と日々の生活費の前にはただの焼け石に水だった。


余裕なんかどこにもない。


毎日、生きるか死ぬかに怯えて、ある日勉強なんかしている暇はないと思い、自主退学に至った。


勉強は、当たり前のように出来る環境のときには感じないけど、幸せの証なんだということを身をもって知った。



まだ小学生の弟の隼人と、病弱なお母さんを抱えて、私は無心に働くことを決意した。




だけど、


このご時世、高校を中退してしまった私のもっている"中卒"という肩書きでは、就職するなんてことは困難だった。


仕方ない…


出ていった父や自分の運命を恨む時間すらない。



とにかくお金がいる。



私は様々なところを回って出来るだけ時給がいい場所で毎日バイトをしている。

そして、昨日…



本当にお金が間に合わなくなり、初めて工事現場の日雇いをしたのだ。
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