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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第3章 キスの味
母のようになりたい。

幼い頃からの憧れは、圭子の心に強く根付いていたのだ。

美しく優しい母。

母は圭子よりわずか一年遅い年齢で、父と結婚をした。

父と愛し合い、自分を生んだ。

(わたしも・・・・ママのように・・・・)

眠りにつく時は、いつも夢の中で少年と結ばれる事を願う。

それが、少女のささやかな楽しみだった筈なのに。

『い、いやぁ・・・・・』

しかし、昨夜の夢は最悪であった。

目覚めた時、圭子は汗をビッショリかいていた。

『はぁっ・・・・はぁっ・・・・』

荒い息を吐く少女の細い肩が小刻みに震え、目は虚ろに宙をさ迷っていた。

『いやっ・・・・いやぁ・・・・』

おぞましさを振り払うように、何度も首を振った。

それでも悪夢はしつように脳裏にこびりつき、圭子から生気を奪っていた。

最近の寝不足のせいもあったが、今朝の顔色の悪さにはそういう訳があったのだ。

「いやっ・・・・大嫌いっ・・・」

今も駅に向かう途中で、愛おしい少年の面影を押しのけるおぞましい男のイメージに対して、少女は嫌悪感一杯の言葉を投げた。

(ひどいっ・・・・ひどいよぉ・・・・)

涙ぐんだ瞳は怒りの色に染まっている。

不条理というには余りにも悲惨な夢だった。

(どうして、あんな奴に・・・・?)

いくら夢とはいえ、信じられない事だ。

自分が許せない圭子だった。

「ごめんね、マモル君・・・・」

か細い呟きは、駅の人ごみの中で消えてしまう。

まるで自分の未来を暗示するかのようで、少女の胸に不安が広がっていくのだった。

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