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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第6章 痴漢
その時だった。

列車が交差する線路の下を通ると一瞬、暗くなりドアのガラスが鏡のように少女の顔を映した。

(おおっ・・・)

男の目が大きく広がったかと思うと、すっーと細くなった。

アイドルのように美しい少女だった。

(こりゃあ、久しぶりの上物だぜ)

女性専用車が登場するようになってから通勤の楽しみが減ったが、今日はついているらしい。

女はガードも甘く、睨み返す度胸もないようだ。

今日はとことん楽しんでやると、男は心の中で舌なめずりしていた。

(い、いやぁ・・・)

圭子は漏らしそうになった悲鳴を、かみ殺していた。

新聞の隙間からのぞかせる男の顔が、ドアのガラスに映ったのだ。

脂ぎった唇から覗かせた黄色い歯が、竹内をイメージさせた。

おぞましさが全身を駆け巡る。

直ぐに明るくなった景色が眩しく、返って印象が強く脳裏に刻まれてしまった。

(た、助けてっ・・・)

まだ何をされた訳でも無いのだが、無意識に助けを求めて左右を見た。

しかし、乗客の殆ど全員が眠っているか本や携帯の画面に集中している。

そうでなければ、息苦しい環境を忘れる事など出来ないのだ。

おまけに耳にイヤホンをつけているので、声を出して助けを呼んでも聞こえるとは思えない。
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