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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第2章 三度目の訪問
家族を巻き込む必要など、無いのだ。

たとえ、奴がどんなに家に来たいと言っても。

もっとも、三度も訪問すれば十分だろうと思った。

いくら家庭の味に飢えているとはいえ、気を使うだけでそんなに楽しいものでは無い筈だ。

(それに、変な事を香奈子に言われても困るしな・・・・)

このところ帰宅が遅くなる事が多い晴彦は、少し後ろめたさを感じていた。

だが幸いにも、妻は不機嫌な素振りは見せてはいない。

内心では穏やかでは無いかもしれないが、しっかりした性格の香奈子は決して自分を責めたりはしないのだ。

それが晴彦にとって良い反面、息苦しく思う時もあったが。

「今日は学校を休んだら・・・?」

香奈子が心配して言う程、圭子の顔が青ざめて見える。

「ううん、今日は友達と会う約束があるの・・・」

「デートかな?」

晴彦は娘の気を引き立たせようと、わざと明るい声で言った。

「ち、違うよぉ・・・」

圭子の顔が赤くなる。

「真理達も一緒だから・・・・」

「圭子も年頃だしな・・・」

そう言って笑みを浮かべた。

口ごもる表情は、それでも生気が戻ったようで少し安心したのだ。

「そんな事言って・・・・本当は娘を取られたくないくせに」

「確かに・・・・」

香奈子がからかうと、おどけた顔を作る。

「パパもママも、そんなんじゃないって言ってるのにぃ・・・」

恥ずかしそうに部屋を飛び出していく娘を見た後、父と母は顔を見合せた。

「フフフフ・・・・」
「ハハハハ・・・・」

朝のダイニングに笑い声が響いている。

道行く人の耳にも幸せそうに聞こえているだろう。

爽やかな秋晴れの朝、それは竹内が初めて訪れた日から、二ヶ月程過ぎた頃の事であった。

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