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第8章 マンションの解約


「翼さん…」

「お世話になっております。藤堂と申します。
少し彼女の身に危険が及ぶことがありまして避難するのを兼ねてうちにおります。
解約したいと思っているので荷物搬出後の連絡はこちらにもらえますか?」


翼さん名刺を一枚渡し管理人さんに挨拶をした。

「そうなの?月島さん大丈夫?」

「はい。」

「修繕などの金額も分かれば私に連絡していただけると助かります。
それと元同居人が何か接触してきても『急に出ていったからわからない。』と言ってくれると助かります。」

「分かったわ。修繕費は敷金を頂戴してるからそちらからで余るくらいだと思うの。それでも連絡しますね。」

「お手数ですがよろしくおねがいします。」


頭を下げた翼さんにつられるように私も頭を下げた。

そして車を回してくると去った翼さんをみて管理人さんは微笑んでいた。


「彼なら幸せになれそうね。」

「そ、そうですね。」


そうでありたかった。
でもその願いは叶わなくなるのは少し先に起こることがきっかけだった。


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