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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第3章 メモリー仁科

「そう資料でした。……これは桜澤霧斗を追ったもの?」

こちらからの手勢で日本に来てから追っていたとは……。中央の内情ばかりを探っていた私とは別視点で多分ルークが指示したものと思われる、こういうところは変わりないというのに……。

「……これは」

私が思った疑問に答えがあり、調教師を選ばないのではなく自ら表で引き抜いた者をCross slesに入れ調教師養成をしているよう。だから足繫く通うが勧誘はせず……初めから決めているため、こんな答えだったとは。だがこれでは付け入る隙がない、私は既に内部で調教師をしてしまっている。

「いえ仁科悠人であれば調教師登録はまだされていない、ですが完全に糸を切るのは都合が悪いですか」

東条から見れば桜澤はまだ弱小に過ぎず東条のパーソナリティーを考えると桜澤を潰しに掛かるのは明白、それを抑えるためにも私自身多少の繋がりがあるほうが有利に働くというもの。

「中央は東条が動き回っているので弱い、そうなれば本部遺跡から……。さて、どう持っていくのが一番穏便でしょうか」

本部は中央からでも謎組織、だとすればこの神秘性を使うのもアリなんでしょう。私かルークを使い賢人を動かし桜澤の全面的支援、適当な中央幹部を使い物流や金の流れ、日本支部から上のイタリア大使館を使い表世界の繋がり、この程度のテコ入れなら隠れながらでも出来るはず。ただ私は桜澤霧斗という人物を知らない、データー上は何度も見ましたが先ほど考えていた通り顔すら知らないとは……。
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