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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第3章 メモリー仁科

「…………?」

そんな事を思っていたら資料の中から写真らしき物が一枚床に落ち、それを拾った瞬間私はつい笑いを抑え切れなくなってしまった。

「……ぷっ。これは……まさかあの時の……」

写真の中の人物はあの日私を諭した男性が写っている。……こんな偶然があるなんて世の中まだまだ捨てたものじゃないと思う。

「彼でしたら私の望みを本当に叶えてくれるかもしれませんね」

だから私はこの件に本気になる。見るのも嫌な賢人共を私の名で動かし、ルーク経由で中央第九階級デニス・ダグラスという人物に介入……勿論自由に動かせる駒として私が賢人共に繋げた、向こうも了承と誓約をしましたが。デニスには幻とされる賢人という餌、私はデニスと使い中央や本部と繋がりを保つ、いい取引だと思いますがね。


少々お膳立てに時間を取られたものの私の思惑通りに事は運ぶ、それは桜澤側も同じこと。漸く調教師二人が桜澤の元に入ったと連絡が来た。

「こちらは任せましたよルーク」
「お任せ下さい盟主。しかしこの理由で納得するでしょうか」
「本部からの要請、日本人一人をそちらに回し様子を見る……ですか? 今後のため本部内に存在する調教師を世界各地に回していると風潮しているんです、私は食いつくと思いますよ。……彼に野心がある限り」
「不透明な本部が餌ですか」
「Cross slesであれば本部というのは喉から手が出るほど知りたい場所、私はそれを利用したまで……あなたが繋いだあの男のように」

これが見事に打ち砕だかれるのは後々の話。今はこれでいい桜澤率いる地下clubが上手く回れば……。
そして私は日本支部を後にする。私は仁科悠人、無階級の調教師、本当の事は一切隠し桜澤……主催の元に身を寄せる事になる……あの結末を欠片も予見しないで。
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