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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第4章 メモリー本郷

「ここには数人の先生達が居るが、堈先生が一番素晴らしい作品を作る」
「作品ですか? それにこの集まりは一体……」

こんな時は質問してよい、対象者の話に付き合うのも仕事の一つなんだ。

「これは内輪での緊縛鑑賞会。私も歳だから普通の店とういわけにはいかんが、これは魅せることで満足を得られるのがいい。緊縛師と緊縛者での主従関係、信頼しているが故の縛りプレイ、先生達は女の特性を見抜き縛り魅せる。……面白いと思わないか本郷?」
「初めてのことなので……」
「説明するより見たほうが早い、驚くぞ」
「…………」

会長との会話はそこで途切れたが、俺だって一応は女を縛り犯すそんなプレイがあることくらいは知っている。緊縛師は初めて聞いたが似たようなもの……そう俺は思っていた。


「始めよう」

堈先生と呼ばれた男が口を開いた途端この場の雰囲気が一変する。
一緒に付いて来た男が段ボール箱から太い縄を何本も取り出し前に置いたあと後ろへと下がり、先生は縄と女を見比べ、女のほうは先生しか見ていない。
数分だろうか? じっと縄を見ていた先生が一本の縄を掴み女の方へと振り向いた。

「杏奈、お前にはこの縄が似合う。背が低くそう重くもないのだから少し細目の麻縄で縛り上げるのが一番」
「全て先生にお任せします」
「両手は後ろに……ああそうだ」

女が腕を後ろに回したのを確認し先生は真ん中から二つ折にした縄を巻き付け縛り上げていく。浴衣を脱がせることなく……いや、浴衣をも巻き込み十メールはあるであろう縄を無理なく自在に操り、女の腕は規則正しく縛られた縄で埋めつくされたが決して不快ではない。
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