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縛られたい
第9章 本当のプロポーズ〜まりあ
シャネルのお店に来るのはとても久し振りだった。

母が元気だった頃は、
このフロアのお店のいくつかは、
時折ウィンドウショッピングに2人で立ち寄ったり、
記念になるようなものを買ったりしていた。


母が生前、対応をして頂いていたスタッフさんが居たので、
声を掛けてみると、
私のことを覚えていてくれた。

母が亡くなったことを伝えると、
お悔やみの言葉を言われた。


母が選んでくれたリトルブラックドレスが、
事情があってダメになってしまったことを伝えると、
それに良く似たものを出して来てくれた。

ボタンや襟の形が少し違うだけで、
イメージはほぼ同じで、
首の処の傷も上手く隠れる襟の形だった。


試着させて貰うと、
阿部さんは眩しそうな顔をして、
「良く似合ってるね」と言った。

上に羽織るお揃いのジャケットとカメリアのコサージュもコーディネートしてくれるけど、
セット買いは凄い金額になることは判っていて、
「ワンピースだけを…」と言った。


それなのに、阿部さんは、
「えっ?
どうして?
それ、セットでしょ?
男のスーツみたいなものでしょう?」と言う。


「真人さん、値札、見て?
近所のスーパーで売っているモノと桁が違うんですよ?」と小さい声で言うと、

「初めてプレゼントするんだから、
これくらい良いでしょ?
毎回、これは無理だけどさ。
ほら、記念日とかに着るのにちょうど良いじゃん。
あ、お揃いでバッグと靴とかも必要?」と、
とんでもないことを言い出すので、
押し留めようとすると、
スタッフさんがすかさず、
小降りのマトラッセと靴を出して来てしまった。


結局、止めたのに、
阿部さんは一式、購入してしまった。


そして、カルティエに行ってダイヤモンドの指輪を買うと言って聞かなくて、
いくつか試着もさせていただいたけど、
「普段つけてて気にならない結婚指輪だけ欲しい」と説得して、
お揃いのシンプルな指輪を選んだ。

刻印に2週間ほどかかると言われたので、
また取りに来ることになって、
指輪は持ち帰れなかった。


阿部さんがお会計に行っている間に、
シンプルな黒革ベルトのついた時計を指差して、
刻印を頼んでカードを渡してこっそり会計をした。


今日のお買い物は、結納みたいなものだろうから、
結納返しを選んだつもりだった。
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