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縛られたい
第9章 本当のプロポーズ〜まりあ
最後に、下の化粧品売り場で、
「口紅、買いたい」と言う。


「シャネルが良いの?」と訊くので、
「シャネルは苦いから苦手なんです。
まさとさんも、キスする時、
苦いの、嫌でしょ?」と言うと、
「えっ?」と固まってしまう。


「えっ?
違うんですか?
口紅プレゼントする代わりに、
キスして回収するんですよね?」と言うと、
物凄く恥ずかしそうな顔をするので私まで恥ずかしくなってしまった。


口紅は、ほのかにマンゴーの香りと味がするイブサンローランのを選んだ。
血色が良く見える優しいピンク系のにして、
婚姻届を出した日の日付と名前を刻印して貰った。



「はぁ。
やっとプロポーズ出来た気がしてきた」と言うので、
「プロポーズどころか、
婚姻届も出しちゃって、
夫婦になっちゃいましたね?」と言うと、
嬉しそうに笑って指を絡めて手を繋ぐと、
「隣のホテルで昼メシ、食べようか?
フレンチとかじゃなくて良いかな?
和食にしよう。
どうせ車だからワインも呑めないしね?」と言って、
荷物を全部持って貰いながら移動して、
個室でのんびりミニ懐石を頂いた。


「いつも美味しいものを食べさせて貰ってるから、
たまにはお洒落して外でご飯食べようね?
ファーストフードじゃないやつ。
今日もスーツで良かった!」

「嬉しいな。
美味しいモノ、食べると元気になるし、
真似してまた、お家で作りますよ?
それに、まさとさんのスーツ姿、
カッコ良くてセクシーですよ?」と言うと、
照れた顔をして顎の下を掻いた。


「この後、すぐ帰る?
ちょっと上に寄って行かない?
あのさ、さっきの下着とか、
着て見せて欲しいな。
ほら、家だと子供たち、居るしさ。
いや、見るだけだから。
んー。
ちょっと触っちゃうかも。
でも、まりあさんが嫌なことはしないよ?
大切にしたいから」と真剣な顔で言うので、

「良いですよ?
だって、夫婦ですもの」と笑ってみたけど、
心臓バクバクだった。
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