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縛られたい
第9章 本当のプロポーズ〜まりあ
阿部さんは立ち上がって手を繋いでフロントに行って、
鍵を受け取ると、
エレベーターへとエスコートしてくれた。


高層階の明るい部屋なので、
なんとなく恥ずかしい。


「先に歯磨きしても良い?
なんか、緊張するな」と笑うので、
私も笑ってしまって、並んで歯磨きをする。


「あっちに居るね?
下着もワンピースも着てね?」と、紙袋を手渡してくれる。

「新しい下着、つけるなら、
シャワー浴びたいな」と言うと、
阿部さんは紅い顔でドギマギしている。


洗面所の中で私は服を全部脱いでからシャワーを浴びて、
ゆっくりと下着をつけて、
リトルブラックドレスを着てみた。
ストッキングは買うのを忘れたので生脚のままにした。
そして、サンローランの口紅を塗って、
ティッシュペーパーで軽く押さえてみて、
ぎこちなく笑ってみた。

なんか、恥ずかしくて死にそうだった。



阿部さんの前に立ってみて、
「どうですか?」と声を掛けてみると、
ゆっくり私の方を見て、
「凄く似合ってる。
可愛い」と言って、
私の方に一歩踏み出して、
私の指先に指を絡めて私を見つめた。


「改めて言うよ?
まりあさん、心の底から大好きだよ。
君なしの生活は、考えられない。
俺みたいなオジサンなんかと結婚してくれて、
本当にありがとう。
愛してる」


「ちょっと…詰め込みすぎです。
私も…まさとさんと一緒に過ごせて幸せですけど…」


「けど…?」


「私なんかで良いんですか?」


「それはこっちのセリフだよ。
こんなくたびれたオジサンで良いのかな?
子持ちだし…」


「レイプされたりしたし、
再婚だし、
子供も産めないんですよ?」


「レイプは不可抗力でしょ?
本当なら、すぐに上書きするよとか言いたかったけど、
それもオトコの身勝手かなって思って。
まだ、怖かったり嫌だったら、
入籍したからといって、
無理してセックスしなくて良いからね?
キスは今すぐしたいけど、
嫌なことは絶対したくないから。
子供は…もう2人居るし、
無理して作らなくても良いし…。
まりあさん、結婚してた時に辛いことされたから優しくするようにって優子が言ってたから、
そういう意味でも、まりあさんが嫌なことはしないようにするから、
我慢とかしないで何でも言ってね」と言って抱き締めてくれた。
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