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ノーサイドなんて知らない
第7章 新婚旅行はひたすら甘い
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パリからマルセイユまで国内線で移動した後、
車をチャーターして、
2時間半ほど掛けて、ひいおばあちゃんの住む家に到着したのは、
既に夜、遅い時間だった。
それでも、待ってくれていて、
本当に久し振りの再会を果たした。
と言っても、勿論、顔は判らない。
小柄な外見、
歌うような話し方、
そして、何よりもほのかに香る香水の匂いで、
認識出来た。
そして、私の相貌失認は、
彼女譲りのものだったので、
私のことは勿論、声や話し方で認識していたのだと思う。
「ショコラでも?」と言われて、
「メルシー」と言う熊野さんに、
「まあ、良い発音ね?」とウィンクする。
蓋付きの上品なカップに淹れたショコラ載せた銀のトレイを、
メイド姿の老女が運んでくる。
多分、昔から居たメイドさんだけど、
勿論顔は判らない。
「クロエ、ありがとう」と言う声で、
同じ人だと言うことが判り、
私もお礼を言うと、
「お嬢様、お変わりなく。
この度はおめでとうございます」と言われた。
翌日からも、昔ながらの田舎暮らしをのんびり楽しませて貰う。
広大なラベンダー畑と葡萄畑。
馬に乗ったりもした。
そして、イギリスの屋敷以上に広い邸宅だったので、
「声を気にする必要ないね?」と言って、
熊野さんは夜、何度も何度も抱いてくれた。
朝になると、続きの間にある猫足のついたバスタブに、
熱いお湯が張られている。
多分、早い時間に泥のように眠った私たちに気づかせないように、
メイドさん達が用意してくれてたんだろう。
朝食の席で、
「カオルは発音が難しいわね?
テディって呼んでも良いかしら?」と言われて、
私は思わず笑ってしまった。
クスクス笑いながら、
「私もね、
初めて彼に会った時、
『クマみたい』って思ったの。
彼のファミリーネームはね、
偶然『クマ』が含まれているのよ?」と言うと、
ひいおばあちゃんは、子供のような顔で笑っていた。
「えっ?
何?
なんて言ったの?」
と熊野さんに言われて、
「カオルが発音出来ないから、
テディって呼んでも良いかと訊かれたの。
ファミリーネームにクマの文字が入ってるから、
良いですよって言っただけよ?」と説明すると、
熊野さんも顎髭を掻きながら笑った。
車をチャーターして、
2時間半ほど掛けて、ひいおばあちゃんの住む家に到着したのは、
既に夜、遅い時間だった。
それでも、待ってくれていて、
本当に久し振りの再会を果たした。
と言っても、勿論、顔は判らない。
小柄な外見、
歌うような話し方、
そして、何よりもほのかに香る香水の匂いで、
認識出来た。
そして、私の相貌失認は、
彼女譲りのものだったので、
私のことは勿論、声や話し方で認識していたのだと思う。
「ショコラでも?」と言われて、
「メルシー」と言う熊野さんに、
「まあ、良い発音ね?」とウィンクする。
蓋付きの上品なカップに淹れたショコラ載せた銀のトレイを、
メイド姿の老女が運んでくる。
多分、昔から居たメイドさんだけど、
勿論顔は判らない。
「クロエ、ありがとう」と言う声で、
同じ人だと言うことが判り、
私もお礼を言うと、
「お嬢様、お変わりなく。
この度はおめでとうございます」と言われた。
翌日からも、昔ながらの田舎暮らしをのんびり楽しませて貰う。
広大なラベンダー畑と葡萄畑。
馬に乗ったりもした。
そして、イギリスの屋敷以上に広い邸宅だったので、
「声を気にする必要ないね?」と言って、
熊野さんは夜、何度も何度も抱いてくれた。
朝になると、続きの間にある猫足のついたバスタブに、
熱いお湯が張られている。
多分、早い時間に泥のように眠った私たちに気づかせないように、
メイドさん達が用意してくれてたんだろう。
朝食の席で、
「カオルは発音が難しいわね?
テディって呼んでも良いかしら?」と言われて、
私は思わず笑ってしまった。
クスクス笑いながら、
「私もね、
初めて彼に会った時、
『クマみたい』って思ったの。
彼のファミリーネームはね、
偶然『クマ』が含まれているのよ?」と言うと、
ひいおばあちゃんは、子供のような顔で笑っていた。
「えっ?
何?
なんて言ったの?」
と熊野さんに言われて、
「カオルが発音出来ないから、
テディって呼んでも良いかと訊かれたの。
ファミリーネームにクマの文字が入ってるから、
良いですよって言っただけよ?」と説明すると、
熊野さんも顎髭を掻きながら笑った。
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