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ノーサイドなんて知らない
第8章 言葉に出来ない不安
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甘々な新婚旅行から帰国した。
顔は覚えられないけど、
思い出は残そうねと言って、
熊野さんが旅行先でも写真をたくさん撮ってくれて、
結婚式の写真と並べて寝室に飾った。
熊野さんが大学に復学するまではまだ時間が少しあった。
それで、「忘れてるからな」と言いながら、
私の仕事部屋に机を増やして、
並んで学生のように過ごしたりした。
私が翻訳の仕事をする隣で、
熊野さんは在学していた頃の教科書やノートを引っ張り出して、
復習するところから手慣らししているようだった。
8月になって、
のんびり2人でバスタブに浸かっている時に、
ふと、熊野さんが言った。
「茉莉(めあり)、生理来てる?」
「…そういえば、来てない」
「最後のっていつだった?
結婚式より前だよね?」
「うん。5月…。
色々あって、身体がびっくりしてるなかなって…」
「でも、入籍してからは、
俺、ゴムつけてなかったよ。
ひょっとして、できたんじゃないかな?」
「気持ち悪くなったりはしてないけど?」
「悪阻は個人差あるらしいから。
明日、病院に行ってみようか?」
私はそっと頷いた。
「湯あたりするといけないから、
出ようか?
滑って転ばないように、
俺に掴まって?」
「やだ。
薫さんたら。
大袈裟じゃない?」
「だって、心配だからさ。
初めてだし」と言って、
そっとキスをしてくれる。
私を座らせて髪も乾かしてくれるので、
「なんか、お姫様みたいよ?」と言うと、
「茉莉(めあり)は俺のお姫様だよ。
愛してる」と言って、
鏡越しに笑うと、
耳にキスをしてくれた。
バスローブを着せてくれて、
ベッドに運ばれる。
そっと横たわらせて、
たくさんキスをされて、
腕枕して貰いながら2人で丸まって眠った。
明け方に、
何か怖い夢を見て、
小さい悲鳴を上げて目を覚ましてしまう。
熊野さんが私を抱き寄せて、
「どうしたの?」と声を掛けながら、
髪と背中を撫でてくれる。
夢の中身は全く覚えていなかったけど、
とにかく、
怖くて嫌な夢だったという感覚だけが残った。
私が眠るまでと背中を撫でてくれるのを感じながら、
私は眠れないまま、朝を迎えた。
顔は覚えられないけど、
思い出は残そうねと言って、
熊野さんが旅行先でも写真をたくさん撮ってくれて、
結婚式の写真と並べて寝室に飾った。
熊野さんが大学に復学するまではまだ時間が少しあった。
それで、「忘れてるからな」と言いながら、
私の仕事部屋に机を増やして、
並んで学生のように過ごしたりした。
私が翻訳の仕事をする隣で、
熊野さんは在学していた頃の教科書やノートを引っ張り出して、
復習するところから手慣らししているようだった。
8月になって、
のんびり2人でバスタブに浸かっている時に、
ふと、熊野さんが言った。
「茉莉(めあり)、生理来てる?」
「…そういえば、来てない」
「最後のっていつだった?
結婚式より前だよね?」
「うん。5月…。
色々あって、身体がびっくりしてるなかなって…」
「でも、入籍してからは、
俺、ゴムつけてなかったよ。
ひょっとして、できたんじゃないかな?」
「気持ち悪くなったりはしてないけど?」
「悪阻は個人差あるらしいから。
明日、病院に行ってみようか?」
私はそっと頷いた。
「湯あたりするといけないから、
出ようか?
滑って転ばないように、
俺に掴まって?」
「やだ。
薫さんたら。
大袈裟じゃない?」
「だって、心配だからさ。
初めてだし」と言って、
そっとキスをしてくれる。
私を座らせて髪も乾かしてくれるので、
「なんか、お姫様みたいよ?」と言うと、
「茉莉(めあり)は俺のお姫様だよ。
愛してる」と言って、
鏡越しに笑うと、
耳にキスをしてくれた。
バスローブを着せてくれて、
ベッドに運ばれる。
そっと横たわらせて、
たくさんキスをされて、
腕枕して貰いながら2人で丸まって眠った。
明け方に、
何か怖い夢を見て、
小さい悲鳴を上げて目を覚ましてしまう。
熊野さんが私を抱き寄せて、
「どうしたの?」と声を掛けながら、
髪と背中を撫でてくれる。
夢の中身は全く覚えていなかったけど、
とにかく、
怖くて嫌な夢だったという感覚だけが残った。
私が眠るまでと背中を撫でてくれるのを感じながら、
私は眠れないまま、朝を迎えた。
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