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ノーサイドなんて知らない
第8章 言葉に出来ない不安
秋になって熊野さんが復学した。

勉強は大変そうなのに、
帰宅すると家事を手伝ってくれたりする。

特に、屈んだり、転んだりしないようにと、
トイレ掃除やお風呂掃除は、
すっかり熊野さんの仕事になっていた。


「あれ?
トイレ掃除すると、
可愛い子供が産まれるんじゃなかった?」と言うと、
「そんなの、迷信だし、
茉莉(めあり)の子供なんだから、
可愛いに決まってるでしょ?」と笑う。


暖かい日は、
お弁当を持って一緒に大学に行って、
授業の空き時間に一緒に過ごしたり、
構内をお散歩したりした。

図書館で翻訳の仕事をすることもあったけど、
誰も居ない処で独りぼっちで過ごすより、
少しガヤガヤしている処も落ち着くなと感じるようになった。


勿論、誰一人、
顔は覚えられないのは変わらないけど、
周りの方もそれを判っていて、
声を掛けてくれることで私が認識してることも気遣ってくれていた。


論文の翻訳については、
直接学校の中で依頼されることも増えてきた。


「出産前後は、依頼しないようにするから」と言いながら、
熊野さんの指導教授でお仲人をお願いした先生からもあれこれ頼まれて、
研究室の片隅に私のデスクスペースを作ってくださったりしていた。




クリスマスとお正月の休みにイギリスから帰国した両親は、
本当に私の妊娠を喜んでくれていたようで、
その後、仕事をそんなに休めない父親だけ、イギリスに戻って、
母親はそのまま日本に残ってくれることになった。


以前、熊野さんが一人暮らししていたお部屋がまだ空いていたので、
取り敢えずそこを賃貸契約して、
母にはそこに仮住まいして貰うことにした。


熊野さんの後期試験も終わって、
臨月を迎えた。


逆子が戻らなかったのと、
腎機能が低下していることを心配されてしまって、
帝王切開で出産することになった。


予定日の1週間前が手術日になり、
とにかくそれまで、陣痛が来ないように、
破水もしないようにと、
安静に過ごすよう言われて、入院の日を迎えた。



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