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ノーサイドなんて知らない
第8章 言葉に出来ない不安
出産には、熊野さんも立ち会ってくれることになっていた。

勿論、まだ学生だから、
文字通り『見学』するだけだけど、
院長先生のご厚意で、本当にずっと一緒に居てくれた。


ギリギリまで部分麻酔で、
「茉莉(めあり)、男の子だよ」と言う熊野さんの声を意識の端っこでぼんやり聴きながら、
そのまま深い眠りについて、
次に目が覚めた時は病室で寝かされていた。


最初に目に入ったのは、
クマさんのような顔で、
すぐに熊野さんだと言うことは判った。


声が出なかったけど、
「茉莉(めあり)、大丈夫?
鎮痛剤、まだ効いてるよね?
切れる前に服用した方が良いから、
痛さを我慢しないでね?」と、
いつもの優しくてのんびりとした声で言われて、
ホッとすると涙が出てしまう。


「えっ?
痛いの?
大丈夫?」と言われて、
首を少しだけ横に振った。


「男の子…?」

「そうだよ。
聴こえてたの?
小さくて可愛い男の子。
今日はね、新生児室なんだって。
写メ、撮っておいたから、見てみる?」と笑う。


周りを見ると、
熊野さんのご両親と私の母も居てくれてるのに、
熊野さんは私の額や頬にキスをするので、
私の方が恥ずかしくなってしまう。


香りの良い薔薇が枕元のテーブルにたっぷりと活けてある。


「メアリーさん、頑張ったね。
本当におめでとう」と、
熊野さんのお父様がニコニコしながら言う。


「本当に!
この後、痛さが大変だと思うから、
無理しないでね?
ゆっくり出来るように、
私たち、今日はこれで失礼するわね?」と、
熊野さんのお母様も笑うと、
2人はそっと病室から出てしまう。


「薫さん、お見送りしてきてね?」と言うと、
熊野さんは慌てて2人を追い掛ける。


残った母は、
「本当に頑張ったわね?
パパにも写真、送っておいたわ。
グランパとグランマも、
とても喜んでいたの」と言って、
頬にキスをしてくれる。


「今日はね、
カオルがここに泊まってくれるって。
まだ、何も食べれないのよね?
明日か明後日には、何か食べれるかしら?
カオルが食べるモノ、
明日、持って来るわね?」と言って、
母も帰って行くと、
病室は急に静かになった。
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