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第12章 幸恵

「何だ？男からの連絡か、幸恵？」

恐るべき勘で、男は送信者を幸恵の恋人と言い当てる。

「お前ほどの女に男がいねぇわけねぇか…だが今日で別れろ、分かったな？」

男は手早く服を着ると、また来ると言いながら幸恵のバッグから財布を抜き取り、出ていった。



『ごめん、今日は行けなくなった』

メールを見るまで、幸恵は優人との約束をすっかり忘れていた。
優人のドタキャンにホッとするのも初めてだった。