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咎女(とがめ)
第12章 幸恵
幸恵は肌寒さに目を覚ました。

(眠ってた…?私ったら、いつの間に…)

気づくとキャリーバッグを抱き締めるように横たわっていた。窓の外はすっかり暗くなっている。


(そうだ、私あの男から逃げようと思って…)

幸恵の意思など、あの男には関係ない。逆らう者は力ずくで従わせるだけだ。
それを避けるには男の目の届かない場所へ行くしかない。


昔と変わっていなければ、あの男は財布が空になるまでパチンコ店にいるはずだ。一緒に暮らしていた頃も、母の財布から札を抜いてはパチンコ通いをしていたものだ。

逃げ出すなら今だと、荷造りして立ち上がったところで記憶が途絶えていた。

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