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水上都市の商人
第1章 私には秘密がある
***救世主私的記録 エトワール・プランセス 二十八歳(仮誕年齢四十九歳)航行歴 2080/0225。
(※以下、文章は全て彼女――『エトワール・プランセス』によって記述されたものであるため、口語体の表現を用いる。)
私には秘密がある…… 私の使命、私の運命。それは私が選ばされたことではなく私が選んだことだから。私にはそれができるし、私はそれをしなければならない。
なぜなら、それを選ぶことが私の生きる目的であり存在意義だからです。でも、それについて誰にも話しませんし言うつもりもないのです。言ったところで誰も信じてくれませんからね。
ただ一つ言えることがあるとすれば……それは私が選ばれて生まれたということです!

「及第点と言い難いが時間は有限だ」
箱舟はぞんざいに評した。所信表明演説の草稿を素早くリライトして渡す。
エトワールは初の女性指導者である。理由は旧弊の打破だ。それでも、神と言う二元的な視点から人類に与えられた救世の預言者であり、救世主に対する神からの挑戦状もある。

その内容はもちろん、
「この世界は滅亡する」
とある。
「よいか? プランセス。そもそも君はなぜ生まれてきたのか?」
「…………」
彼女は答えられない。それは彼女がまだ何も知らないからだ。
「君の父上や母上のせいではない。我々、人類の罪なのだよ」
そう言って、箱舟は彼女の頭の上に手を置いた。さっと席を立つ。いけ好かない男だ。そもそも論を唱えるなら箱舟だって結果論じゃないか、とプランセスは心の中で毒づく。宇宙船ファイナル・アークは汚れた地球から逃げ出した。「経済一辺倒の環境破壊主義者を切り捨て新天地を目指すのだ。これは未来志向であり重力に呪縛された者どもに対する棄民政策だ」と軍指導者は息巻いた。プランセスは知っている。それは負け犬の遠吠えだ、と。3Dフードプレッサーで整形したかのような顔立ちの箱舟は鼻を鳴らす。彼は人類を憎んでいる。
「……」
エトワールは無言のまま席を立った。
そして、箱舟が去った後、机の上に置かれた紙束を手に取った。そこに記された言葉を読み上げる。「あなたは誰ですか?」
それはただの質問だった。だが、その言葉はまるで呪いのように彼女の心を縛り付ける。
私は何のために生まれてきたのだろう?
***
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