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水上都市の商人
第1章 私には秘密がある

そのころ、本物のエトワールは箱舟と共に海外旅行に行くことになった。行き先はアメリカだ。飛行機に乗っている間、ツルツルの頭が気になって仕方がない。「ねぇ、わたしの頭はもう二度と髪が生えないの」「はい。お嬢様の頭は永久脱毛処理がされています」「エー何でーわたし女の子だよー」エトワールは涙目になる。
「箱舟のせいだ」
「申し訳ありません」
「もう嫌だ」
「お父様に相談しましょう」
「嫌だよ。パパなんて大嫌い」
「でも、このままだと……」
「いいよ。別に死んだって。わたしの運命はわたしが決めるんだから」
「……」
「箱舟、わたしのこと好き?」
「はい」
「じゃあ、一緒に死んでくれる?」
「それはできません」
「どうして?」
「私には大切な使命があるからです」
箱舟は答える。
エトワールは首を傾げた。
彼は続ける。
これは私の罪であり、私が選んだことだから。だから私はあなたを殺さなければならない。あなたを殺して、私も死ぬ。私はあなたを愛しているから。それが箱舟の愛なのだ。
そして、箱舟は銃を抜いた。そして、躊躇することなく引き金を引いた。弾丸はエトワールの眉間を貫いた。エトワールは即死だった。そして、箱舟もすぐに後を追った。
***
それから十年後、エトワールの肉体は火葬された。しかし、彼女の魂は天界へと昇っていった。箱舟の亡骸は地の底へ堕ちていった。彼の魂は永遠に救うことができないのだ。なぜならば、箱舟の使命とはエトワールを殺すことだったからである。だから箱舟の本当の名前はエトワール・プランセスである。***
(了)
プロローグ
―――2040年、7月14日。
世界は、終わりを迎えた。
始まりは1つの隕石から始まったと言われている。突如として地球上空に現れた巨大な石ころは、大気圏内で燃え尽きる事なく地表に衝突した。
「箱舟のせいだ」
「申し訳ありません」
「もう嫌だ」
「お父様に相談しましょう」
「嫌だよ。パパなんて大嫌い」
「でも、このままだと……」
「いいよ。別に死んだって。わたしの運命はわたしが決めるんだから」
「……」
「箱舟、わたしのこと好き?」
「はい」
「じゃあ、一緒に死んでくれる?」
「それはできません」
「どうして?」
「私には大切な使命があるからです」
箱舟は答える。
エトワールは首を傾げた。
彼は続ける。
これは私の罪であり、私が選んだことだから。だから私はあなたを殺さなければならない。あなたを殺して、私も死ぬ。私はあなたを愛しているから。それが箱舟の愛なのだ。
そして、箱舟は銃を抜いた。そして、躊躇することなく引き金を引いた。弾丸はエトワールの眉間を貫いた。エトワールは即死だった。そして、箱舟もすぐに後を追った。
***
それから十年後、エトワールの肉体は火葬された。しかし、彼女の魂は天界へと昇っていった。箱舟の亡骸は地の底へ堕ちていった。彼の魂は永遠に救うことができないのだ。なぜならば、箱舟の使命とはエトワールを殺すことだったからである。だから箱舟の本当の名前はエトワール・プランセスである。***
(了)
プロローグ
―――2040年、7月14日。
世界は、終わりを迎えた。
始まりは1つの隕石から始まったと言われている。突如として地球上空に現れた巨大な石ころは、大気圏内で燃え尽きる事なく地表に衝突した。

