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レスさんとシンママちゃん
第14章 出張編 アスリート



すでに七時を回っていました


ボクは荷物を抱えてアーケードの商店街を歩きます


きっとこのあたりに先輩たちも呑んていることでしょう



大通りの大きな道まで出てきました



きっとバスもあるんでしょうが、知らない街でバスに乗るのは億劫です



タクシーを止めようとしていたら携帯が鳴りました


会社の方ではなく、個人の方の携帯です



電話ではなくメールでした



メールの受信ボックスを開けると登録されたニックネームではなく知らないメールアドレスでした


また悪徳業者のだろうと思ってたら、それはタマキからでした



あれから2日間、筋肉痛と疲労感で仕事は休んでいたようです



なんだか申し訳ない気分



1日どれだけの稼ぎになるのか知りませんが、かなりの金額を逃した筈です



ボクは謝罪の文章と、出張は切り上げてこれから新幹線に乗って帰る、と送り返しました



少しすると、また電話が……メールです




そこには新幹線のホームに居るのなら見送りたいからまだ乗らないでくれ、と書いてありました




まだ商店街を歩いてるよ、と返すと




じゃあ、ウチに寄れ!と書かれていました




最後にカオを合わせるのもいいかな、と思い


来た道を引き返し、大きな川沿いを通ってタマキと座ったリバーサイドカフェを横目にしながら歩いていきました




たしか、このあたりだったよなぁとキョロキョロしていたら、自転車がたくさん並べられている雑居ビルからひとりの男の子が出てきました


小学一年生くらいでしょうか?


ボクは怪しまれるのがイヤで、ペコリとお辞儀しました



すると男の子がボクの顔をジィィ、と見つめてきて



「………ジロウ??」



と言ってきた



知らない子供に自分の名前を呼ばれる恐怖


なんかボクのイメージって子供イコールホラー映画なのでとてもビックリしました



「あ、うん……ジロウだけど……

 もしかして……タロウ??」



と、適当な事を言ってみた


当然笑ってくれるわけでもなく、無言で返された









「……上でママが待ってる……、

 ママ、病気なの!

 ジロウ、来てよ!」




と言って近づいてきて、ボクの手を取った


ああ、もしかしてタマキの子どもかぁ!

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