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特別棟の獣
第16章 2人の想い
結局、吏生に無理矢理連れられてマンションまで帰ってきた。


病院代もタクシー代も受け取って貰えなくて、病院に連れていってもらったことのお礼を言うと「当たり前でしょ」と頭を撫でられた。


いつもなら嬉しいことも今はなんだか複雑だった。


吏生は私をソファに座らせる。


「体調悪いの気付かなくてごめんね」


確かに一昨日の夜から身体の怠さは感じていたけど、それほどでもなかったから普通に過ごしていた。

気づく方がすごいと思う。


「百合、別れるなんて言わないで…」


「………」


この想いはどうしたらいいの……?


吏生のことは大好き。


でも、もしかしたら私以外にも身体を重ねてる人がいるんじゃないか、私を抱きたいだけなんじゃないかという不安が頭をぐるぐる回る。

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