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特別棟の獣
第16章 2人の想い
少しの間、無言だった吏生はそのまま何も言わずに私を抱きしめた。


「俺には百合しかいないから…。この先ずっと。だから離れないで」


吏生の腕の中は温かい。


それに凄く安心させてくれる。


でももう一度信じて、またあんな事があったら私はもう耐えきれない…


「他の人とキスしないで……」


「絶対しない。約束する」


涙混じりの私の小さな声は吏生に届いていたみたい。


「本当は他の女の人に触られたくないし……、喋ってほしくもないの……」


「分かった」


「でもそれはいい……普通に生活してたら喋らないなんて無理だから…」


「百合はもっと我儘言っていいよ。俺ばっかり束縛してるし」


別に私は苦じゃない。

だって今まで人と関わることを結構避けてきたから、男の人と喋る機会なんてない。


蒼さんや來は吏生もなんとも思わないみたいだから話しかけられたら喋る程度。
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