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第2章 社内の風景

その時、クスクスと笑う声に後ろを振り返った。
一瞬の風が胸をよぎる。

天使が微笑んでいた。

坂口は眩しそうに見つめた後、慌てて目を伏せた。
まさか、恋心を持っているなどと読み取られる筈はないのだが。

インテリアデザイナーの東出由美、29歳、独身。
脳内のコンピューターが瞬時にデータを弾き出した。

すらりと長い足を低めの靴におさめ、ストレートボブを肩先に揺らし白い歯をこぼしている。
意識しないようにしても自然と顔が赤くなりそうで、又、コーヒーカップを口元に運んだ。