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第6章 新聞：雨宿り（第一話）待たされている女

雨が、まだ降り続いている。

マンションの窓に複雑な編目模様をいつまでも作り続けている。
まるで今の礼子の心を描く抽象画のように、幻想の世界に引き込んでいく。

礼子の前に食べ終わった食器が並べられていた。
赤だしの味噌汁、鮭の切り身、厚焼き卵、それらが半分も手をつけられず大きく広げられた新聞の活字をバックに寂しそうに残されている。