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甘い蜜は今日もどこかで
第9章 【離れない永遠に】







「ジロウ……お願い、結婚して?もう、親族じゃないから面会出来ないとか嫌なの、家族になろう?堂々と親族ですって言いたいよ」




そう言って、私はジロウに病室で逆プロポーズした。
泣きながら懇願したのを今でもはっきり覚えてる。
胸が苦しくて、辛くて、その何倍も辛いのはジロウだったのに。
親族じゃないことがこれほど胸を切り裂くものだったなんて、この時初めて知ったの。




私、バカだからジロウが傍に居るだけで良いって思ってた。
何が何でも吉原さんに言って、早く結婚してジロウと夫婦になってれば良かったって本気で後悔したよ。
私がジロウを独占する前に逝ったら一生許さないから。
お願い、独りにしないで。








「椿さん?起きてます?もう起きる時間ですよ」




カーテンを開けて部屋に明かりを入れる。
眩しい目をゆっくり開いて起き上がる。
「ほら、肩出てる」って優しい声が寝ぼけ眼の私にずり落ちていたカーディガンを羽織らせてくれた。




「おはようございます、椿さん」




「おはよ、ジロウ」




フラフラしながら洗面所へ行って顔を洗う。
歯磨きもして水を止めた。
タオルで顔を拭いて前を見ると鏡越しに後ろに居たジロウと目が合う。
ん?とアイコンタクトしたらもう腕の中に居た。




「ねぇ、スッピンすら可愛いんだからさ、朝から煽らないでよ」




「え…?煽ってないよ、良い加減慣れてよね?私いつもこうでしょ」




「僕だけの特権だから絶対に誰にも譲りません、朝一からこんなことも出来るし…」って顎クイされてキス。
「他のマネージャーに譲るのは嫌だ」とかまだ言ってる。
結婚して夫婦になったら別に良いんじゃない?と私は思ってるんだけど。
やっぱり吉原さんに報告したら夫婦は離れて働かなきゃならないのかな?
日本ってまだそういう国なの?




2人で話し合って、今日、吉原さんに報告することにした。
先週は両親に挨拶。
ジロウめちゃくちゃ緊張してて可笑しかったな。











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