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おっかない未亡人
第4章 呑まれる性欲
飲み会は人数が少なかった
辺りを見渡すがやはり松下は来ていない
先ほどの女性と今頃お楽しみなのだろう

関本の隣に座りたかったが
他の男性社員と盛り上がって話をしていた
彼が慕われているのがこよなく嬉しい

幸子は郷田の隣に座る 

「大丈夫?」

郷田が幸子のグラスにビールを注ぐ

「あたしはまた失うのかな?」

「何を?」

「好きな人がいる。」

関本の方を見ながら言う
話に夢中らしく目は合わない

「いいことじゃん。」

「奥さんがいる。」

「またか。」

「またとか言わないで。」

「吉村は勝ち気だから余裕で奪えるよ。」

「奪ってまでは、、いいかな。」

ふと関本を見ると目が合って
席を立ってこちらに来る

「元気ないね。」

「分かります?」

「こんなおじさんと外回りは暑苦しかった?」
  
「めっそうもないです。」

ふと関本の結婚指輪を見る
幸子の心に雲が立ち込めた

「いやぁでも三原さんは頑張ってるよ。俺は頑張る女性を応援したい。」

「付け上がりますよこいつ。」

郷田がちゃちゃを入れる


ああまたキスしたい
関本の口元を見た
これはあたしのものだ
心に誓った

郷田がトイレに立ったタイミングで
備え付けのペンでナプキンにメッセージを書いて関本に見せる

~ホテル行きませんか~

関本は一瞬こちらを見て
咄嗟に煙草を取り出すがライターになかなか火がつかない

動揺してくれてる?

幸子は両手で囲んで風を遮った

やっと火がつく

周りはわりとガヤガヤしていたし
関本はどう見てもキツネ顔で女性社員の話題に上るタイプではなかった 
誰も私たちをマークしていない
まさか誘っているなんて誰が思うだろう

「こんなおじさんのどこがいいの?」

「距離感と落ち着きと声と、、。」

顔を赤らめながら話していると
鼻で笑われる

「声は初めて言われた。」

「ふふふ。実を言うと全くタイプじゃないんです。一夜を共にしたと聞いて、正直鳥肌が立つくらい嫌だったのに。」

「そうなんだ。」

こんなに失礼なことを言っているのに
彼の顔色は変わらなかった
むしろ笑う余裕すらある

「多分、あの夜のことがなかったら絶対に狙わない、くらいあたしの好みとかけ離れてる。なのにこんなにも気になってしまって、、。自分でもどうしていいか分からないんです。」



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