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人生双六~振り出しに戻る~
第3章 小4秋
 「新婚ホヤホヤなのに売春なんかしてるのかの?」
 同じ質問を繰り返す。
 「そ、それは。」
 口ごもる度に好実のビンタを全身に浴びつつ菖子の供述が始まった。
 
 亭主、欽三と出会ったのは二十歳の時。
 友人主催の飲み会、所謂合コンでだった。
 優等生で人一倍プライドが高かった菖子にとって大学の学友は程度が低すぎて恋愛対象にならなかった。
 そこに現れた商社でバリバリに働くエリートサラリーマンは魅力的に写った。
 ファッションセンス、酒の飲み方、会話術。
 どれもが洗練された大人の男に夢中になった。
 欽三にしても好意を寄せられて嫌な気はしない。
 トントン拍子で付き合うようになりあっと言う間に結婚が決まった。
 結婚して1年が過ぎた頃欽三に海外赴任の辞令が出た。
 欽三としては菖子に一緒に来て欲しかったのだが念願の教師になったばかりの菖子は残留を望み単身赴任が決まった。
 欽三が渡航して数ヶ月。
 一人寝が寂しく身体が疼くようになる。
 最初は手淫で我慢出来ていたがその内にマッサージ機、ピンクローター、バイブレーターと道具がエスカレートしていくも満足出来なくなる。
 寂しさを紛らわせる為に飲みに行き泥酔した状態で居合わせた男とホテルに入った。
 酒の力もあったろうが数ヶ月ぶりの血の通ったペニスは格別だった。
 中出しされてしまったが膣に溢れるザーメンの暖かさすら愛おしかった。
 別れ際男が財布から3万円を取り出しタクシー代と言って渡してきた。
 気持ちいいセックスが出来て欲求不満も解消。その上お金まで手に入る。
 一挙両得、いや三得か。
 それから身体が疼くと夜の街をフラフラと彷徨うようになった。
 
 はぁ~。
 「呆れた。長々と言っとるが要約すれば旦那とセックス出来ない寂しさを男漁って誤魔化してるってことじゃろ。」
 こんな国語力でよくテストに30字以内で説明しなさいなんて問題がだせるな。
 「このネタ土地の893に流したらどうなるかの?」
 893と聞いて菖子の肩がビクリと震える。
 「フリーの売春婦にシマ荒らしされたんじゃ面子が立たんじゃろう。捕まってソープランドに売られて日に五人も六人も相手させらせて日当千円ってところかの?」
 見る見る間に顔色が青から白に変わっていく。
 「よかったの。大好きなセックスで生活出来るぞ。」
 
 
 
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