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人生双六~振り出しに戻る~
第3章 小4秋
 「あ、あ、あ、あ、あなた!」
 驚くのも無理はない。
 全裸に剥かれ自ら売春婦だと宣言した直後にカメラを片手に男が現れしかもそれが教え子。
 情報が多すぎてパニックを起こしたのじゃろう。身体を隠そうともしない。
 小ぶりだが形の良い乳房。
 程程に引き締まったウエスト。
 ボリューミーな臀部。
 恥丘を飾るのは短く刈り揃えられた陰毛。
 その下に肥大し飛び出し変色したビラビラの小陰唇。
 その全てがレンズに収められていく。
 「妙な所で会いましたな。」
 「か、烏丸君!」
 脅迫者に屈服した女の顔の下から教師の顔がのぞく。
 「こんな所で何をしてるの!」
 教室で聞けばそれなりに威力のある言葉だろうがここは儂のテリトリーじゃ。
 夜中に聞こえる蚊の羽音程度の不快感しか感じない。
 「黙れ!売女!吠える前にその汚い身体を隠したらどうじゃ?」
 やっと自分の姿を思い出したのじゃろう。両手で胸と股間を隠ししゃがみこみ白い背中を向ける。
 「ご主人様に汚い尻を向けるなんてどういうつもり!」
 こらこら。
 儂はまだ菖子の主じゃないぞ。
 そう、あくまで今現在では「まだ」だ。
 「はい、売春婦先生起立!」
 教え子の口から売春婦と罵られても反論すら出来ずに命令に従いノロノロと立ち上がる。
 手で胸と股間を押さえ隠している立ち姿はサンドロ・ボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』みたいだがあんな神聖さはない。
 そうじゃな。
 タイトルを付ければ『雌奴隷の誕生』ってところかの?
 「先生質問!なんで新婚ホヤホヤなのに売春なんかしてるのかの?」
 唇を噛みしめ顔を背ける。
 おや?
 そんな態度取るの?
 これは折檻が必要じゃの。
 儂が拳を握り締めるより好実の方が早かった。
 立ち上がるなり前蹴りが鳩尾に叩き込まれる。
 「ヴゥエ」
 蟇蛙みたいな声を上げて両膝を着き踞る菖子の髪を鷲掴みにし強引に顔を上げさせる。
 「どうしてご主人様の質問に答えないの?」
 口調こそ穏やかだが剣呑な声。
 パァ~ン!
 恐怖に視線を泳がせる菖子の頬が高らかに鳴る。
 「質問に答えれない悪い子にはお仕置きが必要よね?」
 パァ~ン!
 反対側の頬が腫れる。
 「体罰禁止なんて甘い事言わせないわよ。」
 日頃の恨み辛みを晴らすのは今だと好実はエキサイトしとる。
 
 
 
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