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人生双六~振り出しに戻る~
第4章 小6冬
 面白い。
 逆に取っ捕まえてストレス発散の贄に足腰立たぬようにしてくれよう。
 終業のチャイムを聞きランドセルを背負って指定された体育館に向かう。
 つけられてる気配はないので別ルートで先回りしようとしとるのじゃろう。
 少し手伝ってやるか。
 トイレに寄り用を足す。
 ゆっくりと歩みを進め遠回りする。
 真っ直ぐ向かうより7分程時間を掛けて到着して今に至る。
 「この手紙は主かの?」
 指定場所に佇んでおる人影に声を掛ける。
 「蔵原奏美。」
 暗がりから現れたのは蔵原奏美、クラスメートじゃった。
 これは予想の範囲内じゃ。
 なにせ儂のクラスで頭文字K.Kは3人。女子は奏美1人だけじゃ。
 問題は目的じゃが。
 果たし状の可能性はほぼ零じゃろう。
 なにせ本より重い物を持ったことがないような文学少女。
 平手打ちを放ったら逆に指と手首を骨折しかねない。
 ドッキリ。
 これものう。
 自ら立案したとは考えにくいし他人に唆されて悪戯に加担するタイプではない。
 恋文。
 完全否定は出来ぬがこれの可能性も薄い。
 なにせ顔と名前を知ってるだけのクラスメート。
 生涯で交わした会話の時間は10分にも満たないティッシュより軽く薄い関係じゃ。
 恋慕の情なぞ抱かれるとは思えん。
 と、なると脅迫・・・か。
 少し気を引き締めるとするかの。
 
 名を呼ばれても下をうつむきなにやらモジモジしておる。
 少し猫背なので判り辛いが身長は150㎝後半と女子としては長身といえよう。
 肉付きもよく小学生にしては胸と尻が豊かに成長しておる。
 後数年もすれば美味しくなるじゃろうが今はまだ青い果実。
 食指も動かぬ。
 「で、話とは何かの?」
 「・・・・・・。」
 「呼び出しといて黙りかの?」
 「・・・・・・。」
 えぇ~い。埒が明かぬわ。
 「話がないなら帰るぞ。」
 「図書室。」
 踵を返した儂の背中に小さな声が投げ掛けられる。
 「ん?」
 「図書室に行くの?」
 「あぁ。それが?」
 「やめて!」
 突然の怒声に思わず身体が竦む。
 「?」
 「好実先生にもう、酷いことしないで!」
 おや?
 「好実先生、恋人がいてお腹に赤ちゃんもいるのに!あ、あんな、は、破廉恥な・・・」
 おやおや?
 怒りと羞恥に顔を真っ赤にして肩を戦慄かす少女に少し興味が湧いてきた。
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