この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第4章 Valet & Earl 〜従者と伯爵〜
老貴婦人のステップは実に優美で流れるようであった。
狭霧はリードする側は初めてだったが、まるで狭霧も上手く踊れるように、彼女に無意識にリードされているかのような踊り心地だった。

「…マダム。ワルツがお上手ですね」
思わず賛辞を口にする。
老貴婦人は嬉しげに微笑った。
「ありがとう。
貴方もなかなかのものですよ。
これからもっと場数を踏めば素晴らしい踊り手になるわ」
…そして、うっとりと呟く。
「…ワルツは大好き。
昔はよく踊ったわ。
…一番最初は…小さな頃に幼馴染みと踊ったっけ…。
とても気持ちの優しい男の子だっだのだけれど、はにかみ屋さんでね。
舞踏会では今の貴方みたいに遠慮勝ちにバルコニーにいたわ。
だから私から誘って踊ったの。
真っ赤になって、それでも一生懸命踊ってくれたわ。
とても可愛かった…。
…今では彼は海軍の大元帥よ」

狭霧は眼を見張る。
「…すご…!
もしかして、ダルタニアン元帥ですか?」
…フランス海軍の大物だ。
異国人の自分でも知っている。
…このおばあさん、やっぱり凄いひとなんだな。

「…ふふ…。
わたくしと踊ると、その男性は大出世するのよ」
…だから貴方もきっと末は大富豪だわ。
悪戯めいてウィンクする。

やっぱりなんだか面白いおばあさんだ。
「それは光栄です」
狭霧は楽しい気分のまま、少し大胆にターンを繰り返した。

「お上手よ。美しい従者さん」
…老貴婦人のアメジスト色のドレスのスワロフスキーがきらきらと月明かりに輝いた。



/256ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ