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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第4章 Valet & Earl 〜従者と伯爵〜
…16区のブローニュの森の南、広大な敷地に佇むロッシュフォール公爵邸は聞きしに勝る豪奢な豪邸だった。
屋敷はルネッサンス様式の建築で、かの有名なシャンボール城を彷彿させるような見事なものだった。
イタリア建築の影響を受けたと思われる凝った意匠や造りが、その特徴だ。
車寄せには来賓の最新型のロールスロイスが多数並び、開かれた玄関扉の奥には、眩いばかりの光を放つシャンデリアが煌々と輝いていた。

狭霧は思わずそれらの光景に目を奪われたが、直ぐに車から降りる伯爵のために車のドアを開ける。
伯爵はしなやかに降り立ちながら、屋敷を見渡す。
「…素晴らしい邸宅だろう?
ロッシュフォール公爵はフランス革命もしたたかに生き残り、財を成した凄腕の大貴族なのだよ。
…けれど本当に凄いお方は、エリザベス・ド・ロッシュフォール…。
真の権力者はクイーン・リーズと呼ばれ敬われている公爵夫人だ。
彼女がその一族を統べり、要となっているのだ。
今夜、そのご尊顔を拝めると良いね」
…と、愉しげに説明した。

「…はあ…」
圧倒されるのと緊張で言葉が出ない。 

その様子を察して
「…落ち着いて。緊張することはない。
今宵は社会見学のつもりで臨みなさい」
と、優しく肩に手を置かれる。
「…はい。旦那様」
そう答えることにも段々と慣れてきた。

北白川伯爵は嬉しげに美しい双眸を細めた。
「…では行こうか。狭霧」

玄関ホール入り口に厳しい門番のように立つこの家の執事が、低い声で朗々と次々と訪れる来賓の名前を呼び上げる。
「…クローデル男爵様並びにご令室カタリーナ様」

磨き抜かれた伯爵の高価な革靴が屋敷の大理石の階段の一歩を踏みしめる。

執事が恭しく伯爵に一礼する。
「…日本公使・キタシラカワ伯爵様」

狭霧は伯爵の後を、気を引き締めながら続いた。


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