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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第4章 Valet & Earl 〜従者と伯爵〜
従者の控室に入ると、中で談笑していた従者たちの視線が一斉に狭霧に向けられた。
皆、狭霧よりは年長で…如何にも経験値の高そうな、もの慣れた従者といった風情だ。
もちろん、皆、欧州人だろう。
東洋人は狭霧だけのようだ。

狭霧はなるべく目立たないように室内を移動し、伯爵の外套を来賓用クローゼットに掛けにゆく。
…ここで数時間過ごすのも気不味いな…。
そう思いながら控室に戻ると、待ち兼ねたように従者たちに取り囲まれた。
「君がキタシラカワ伯の従者か?」
「名前は何て言うんだい?」
「やはりずば抜けた美形だな。
monsieurキタシラカワはずっと従者を付けなかったんだ。
代わりにあのコワモテの執事が付き添っていたのさ」
「…しかし本当に美人だな。
東洋人は皆、こんなに肌が綺麗なのか?
まるで高価な真珠みたいな色じゃないか」
「…テイルコートも最新流行の型だな。
さすがはお洒落なmonsieurキタシラカワだ。
羨ましいよ。そんな新しいお古なんてさ」
「おいおい。いきなりずけずけと聞いてやるなよ。
困っているじゃないか」
従者の中でも一番歳上らしき気の良さそうな男が、取りなしてくれた。

フランス語は喋られるが、早口で捲し立てられると一気には聞き取れない。
狭霧はしどろもどろになりながら、答えた。
「私はサギリ・イズミです。
従者にはまだなりたてなので、色々と失礼なことをしてしまうかも知れません。
どうぞよろしくお願いいたします」
殊勝に頭を下げる。
…マレー執事に言われていたのだ。
従者の控室ではとにかく礼儀正しく、感じ良く挨拶しろと。
ここで嫌われると、何かと不都合らしいのだ。

… 狭霧はマレー執事の言葉を思い返した。
『初めが肝心なのだよ、サギリ。
良くも悪くも君の行動ひとつで、旦那様の印象が決まってしまうのだからな』








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