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愛妻を抱かせる
第2章 カミングアウト
2017年1月3日

私は朝から一升瓶を抱えて重箱に残った黒豆となますをツマミに、

エロサイトを当てもなく物色していた。

年末大晦日に今年最初で最後の贅沢と言って

大吟醸を一升買ってきた。

それももう少しでそこを突きそうになっていた。

「今年最初で最後の贅沢があっという間になくなっちゃったね」

揶揄うように妻が言うが

「いいや。去年買ったんだから

今年の贅沢はまだやってないからね。」

呆れた顔をされたが、こんなやりとりが楽しい。

少々酒が回ってきたころ、無意識にたどり着いたサイトに

目が止まった。

〜女性のためのリラクゼーション〜 

いかにも女性受けしそうなラグジュアリーな雰囲気の

デザインのサイトのようだが、コース案内をよく見ると

オイルマッサージコースと性感コースが用意されていた。

もちろん前者だけでも構わないみたいだ、ご親切にプラス割安で

性感コースお試し体験もできますよ、と。

もちろん男性セラピストだ。

ホテルの部屋をこちらが用意してそこで施術するみたいなので

これなら私も同席できそうだし、

上手くやれば妻を説得できるんじゃないか?

妻も機嫌が良さそうだし、

私も酔った勢いでついに切り出してしまった。

「ねえねえ、アロマオイルのマッサージとか興味ある?」

さすがに妻の顔が見れない。

「あるよ。気持ちよさそうじゃん。リンパマッサージみたいな

そう言うやつよね?」

おっ、いい反応。

「そうそう、たまには身体のメンテナンスも必要だと思うよ」

カウンターキッチンの向こうで洗い物をする手を止めた。

「受けられるんならやってみたいなあ。

それってどこにあるお店?」

ここからが問題。

「あーお店じゃないみたいなんだけどー

ホテルの部屋をこっちが用意してー来てもらう感じ?」

妻の顔色が変わる。

「なにそれ、そういうのは聞いたことないけど…

それ本当にまともなマッサージなの?」

さすがに長年私の妻をやってるだけあって鋭い。

「そのー、あのー、男性セラピストがね、個人でね

出張でやってるみたいでー、すごく評判がいいみたいなんだけど…」

こんなに時計の音って大きかっただろうか。

上手く黒豆がつまめない。

「本当にオイルマッサージだけなの?変なことするんじゃないの?」













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