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花の香りに酔う如く
第20章 沙羅双樹の想い①〜沙羅
「勿論、最初は兄さんも沙羅ちゃんも困惑して、
断ったよ。
でも…」


慧お兄様が引き取るように話を続ける。


「僕も酷いEDだったし。
元妻の仕打ちが酷くてさ。
散々貪るようにされるのも、どうもダメで、
挙句に役立たずって罵られて、
萎縮してすっかり勃たなくなるし、
浮気されたりで、
女性不信にもなって、
もう、そういうことは良いかなと思って、
一生、本山に居るつもりだったから。
でも、沙羅ちゃんと居ると、
物凄く心が穏やかになれるし、
なんていうか…抱き締めたくなるし…。
幼稚園どころか、産まれた時から見てたから、
妹みたいだし、
好きだって思ってたけど、
ロリコンみたいかなと自制してた。
おまけに、律のお嫁さんになったから、
ずっと気持ちを封じ込めていたことを実感した。
それに、沙羅ちゃんになら、
欲情することにも気づいて、
気持ちを抑えきれなかった。
それで、酔って眠ってしまった沙羅ちゃんを、
自分から…」

そう言って、
慧お兄様も私の隣に座って手をそっと握ってくださる。



「違います。
私…自分の意思でそれを望んだんです。
律さんも慧お兄様も私を想って、
深く愛してくださっていて…。
とても幸せなんです」


言葉を紡ぎ出しながらも涙がポロポロと溢れてしまう。


「だから、地獄に堕ちようが、
誰かに非難されようが、
構わないって思ってます」
と、キッパリと言った。


それに圧倒されるように、
三人は黙ってしまう。


そして、律さんが、

「沙羅ちゃんは僕達の天使だから。
空、お前も沙羅ちゃんに抱き締められたら判るよ?」
と静かに言った。



「他人と寝てる処を観ないと勃たないっていう僕を救う為に、
そうしてくれた。
酷い言動で傷つけられて勃たなくなった兄さんも、
包み込んで男性としての誇りを取り戻させてくれた。
ゲイだっていうお前のことも、
きっと優しく受け入れてくれるよ?」
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