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ただ一緒に居たいだけ
第8章 マインドゲーム
「そんな顔されたら、帰れなくなるよ?」と言って、
手を引いてソファに座らせると、
その手を指を絡めるように繋いで、
もう片方の手で髪と背中を撫でてくれる。


「ひとつひとつ、
ちゃんと考えてくるけど、
本当に、美波さんが好きなんだ。
明日、大地震とか事故で死んじゃうかもしれないから、
自分の気持ちを偽りたくないし、
回り道もしたくない。
キス、したい。
頬とかじゃなくて、
唇に…」と言って、
顔を近づける。


「嫌なら、押し退けて?」と言って、
更に顔を近づける。


私はそっと目を閉じて、
慎吾さんの唇を受け入れた。


軽くチュっとするだけのキスをして、
少し離れて私の顔を覗き込む。


「ちゃんと考えてきたら、
もっと凄いキス、しても良い?」と言う。


「私も考えてみるね?」とぎこちなく笑うと、
急に携帯がなった。


「ごめん。
俺のだ」と、
ジーンズの後ろポケットから携帯を出す。



「なんだよ、オヤジ。
ふーん。
名古屋に着いたんだ。
えっ?
美波さんの携帯?
やだ。
教えない。
えっ?
弁当、美味かったって?
ああ、一緒に居るから伝えるよ?
やだ。
電話、代わらないよ?
これから、良いトコなんだからもう良いだろ?
じゃあな」と電話を切った。


私がポカンとした顔をしたようで、

「オヤジ、マジ、美波さんのこと狙ってるから、
牽制しといた」と笑った。



「じゃあ、帰るね?
来週も週末、一緒に過ごせる?
寒くなってきたから、
今度は車中泊のキャンプに行こうね?」と言って、
額にキスをしてくれた。
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